20代・30代で急増する大腸がん|血便・便潜血を放置しないで【神戸の内視鏡専門医が解説】

こんにちは、神戸三宮とよだ内科・内視鏡クリニックの院長、豊田です。

日々の外来で患者さんとお話していると、こんなお声を本当によく耳にします。

「血便が出たのですが、きっと痔だろうと思って様子を見ていました」

「健康診断で便潜血が陽性だったんですが、忙しくてなかなか再検査に行けなくて…」

特に20代・30代の若い世代の方は、「自分はまだ若いから、がんのような大きな病気は関係ない」と感じがちです。しかし、その”思い込み”が、実は非常に危険なサインを見逃す原因になっているかもしれません。

実際に、当院で若い患者さんに大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うと、がん化する可能性のある「腫瘍性ポリープ」が見つかることは決して珍しくありません。こうした日々の診療経験から、私は「若い世代の大腸がんやポリープは、もはや他人事ではない」と強く感じるようになりました。そして、その実感は最新の研究データによっても裏付けられています。

他のがんは減っているのに、大腸がんだけが増えている衝撃の事実

最近、非常に興味深い研究報告が、権威ある米国の医学雑誌『The Journal of the American Medical Association(JAMA)』に掲載されました。
(参考:JAMA. 2024;331(4):350-352

この研究は、American Cancer Societyの研究者Rebecca L. Siegel氏らが行ったもので、50歳未満の若年層におけるがんの死亡率が、過去約30年間でどのように変化したかを調査したものです。

若い世代のがん死亡率は全体で約44%も減少

医療の目覚ましい進歩により、肺がんや乳がん、白血病といった多くのがんの治療成績は劇的に改善しました。その結果、1990年から2023年の間に、50歳未満のがんによる死亡率は全体として約44%も減少したことが分かりました。これは、私たち医療に携わる者にとっても、大変喜ばしいニュースです。

しかし、大腸がんだけは死亡率が増加していた

しかし、この研究結果には、手放しでは喜べない、もう一つの重要な事実が含まれていました。なんと、調査対象となったがんの中で、唯一「大腸がん」だけが死亡率を増やしていたのです。

50歳未満の大腸がんによる死亡率は、2005年以降、毎年およそ1%ずつ増加を続けています。その結果、かつて若年層のがん死亡原因の第5位だった大腸がんは、2023年には男性で第1位、女性では乳がんに次ぐ第2位にまで上昇してしまいました。

この傾向はアメリカに限った話ではなく、日本を含む世界中の国々で「若年発症大腸がん(Early-onset colorectal cancer)」として問題視されています。原因はまだ完全には解明されていませんが、食生活の欧米化や肥満、運動不足、そして腸内環境の変化などが複雑に関係しているのではないかと考えられています。

当院のデータが示す、20代・30代のリアルな危険性

「海外の話や研究データだけでは、まだ実感が湧かない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、私たちとよだ内科・内視鏡クリニックの実際のデータをお示しします。

これは、2025年4月の開院から約11ヶ月間で、当院で大腸内視鏡検査を受けられた576名の方々の検査結果を分析したものです。

年代 検査人数 腫瘍性ポリープ
発見人数
発見率
20代 43名 13名 約30%
30代 76名 23名 約30%

この結果を見て、私自身も改めて驚きを隠せませんでした。20代・30代という若い世代であっても、約3人に1人の割合で、将来がんになる可能性のあるポリープが見つかっているのです。

もちろん、これらのポリープはすべて、検査のその場で内視鏡的に切除しました。しかしこの事実は、若いからといって決して安心はできず、早い段階からご自身の大腸に関心を持つことがいかに重要かを、改めて示唆していると感じています。

なぜ若い人ほど、発見が遅れてしまうのか?

若い方の大腸がんで特に問題となるのが、「発見の遅れ」です。「まさか自分ががんのはずがない」という先入観から、

  • 血便が出ても「どうせ痔だろう」と自己判断してしまう
  • 便秘や下痢が続いても「ストレスや食べ過ぎのせいだ」と思い込んでしまう

といったケースが後を絶ちません。その結果、症状が進行し、お腹の痛みや体重減少といった明らかなサインが出てからようやく受診され、その時にはすでに進行がんだった、ということも少なくないのです。

一つでも当てはまったら要注意!大腸からの危険信号

もし、以下のような症状が一つでも続いている場合は、「若いから」と放置せず、一度専門の医療機関に相談することを強くお勧めします。

  • 血便・便に血が混じる
  • 便が以前より細くなった
  • 便秘と下痢を繰り返すようになった
  • 健康診断で原因不明の貧血を指摘された
  • お腹の張りが続く、腹痛がある
  • 急に体重が減ってきた

これらの症状は、大腸があなたに送っている重要なサインかもしれません。「気のせいかな」と思っても、一度ご相談いただければ、それだけで安心につながります。

大腸がんは「予防できるがん」です

ここまで、少し怖い話が続いてしまいましたが、最後に最もお伝えしたい大切なことがあります。それは、大腸がんは、数あるがんの中でも「予防できるがん」であるということです。

大腸がんの多くは、まず「ポリープ」ができ、それが時間をかけて少しずつ大きくなり、やがて「がん」に変化するという段階を踏んで発生します。大腸内視鏡検査の最大のメリットは、この「ポリープ」の段階で発見し、がんになる前にその場で切除できる点にあります。

つまり、大腸内視鏡検査は、がんを早期発見するための検査であると同時に、がんそのものを”予防”できる、唯一の検査なのです。

神戸三宮で大腸の不安を抱えるあなたへ

とよだ内科・内視鏡クリニックでは、消化器内視鏡の専門医である院長が、すべての検査を責任を持って担当します。鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、うとうとと眠っている間に終わる「苦しくない大腸カメラ」を実践しており、発見したポリープはその場で日帰り切除が可能です。

血便や便潜血陽性、その他気になる症状がある方は、決して一人で悩まず、お気軽に当院までご相談ください。あなたの不安に、誠心誠意向き合います。

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院長 豊田昌徳

記事執筆者

とよだ内科・内視鏡クリニック
院長 豊田昌徳(とよだまさのり)