なぜ「大腸カメラ」が大腸がん予防につながるのか?ポリープの段階で発見・切除する意味【神戸・三宮】

前回のコラムでは、日本人の生涯大腸がん罹患リスクが「男性は10人に1人、女性は13人に1人」という、決して他人事ではない数字についてお話ししました。

大腸がんは身近な病気だからこそ、日頃からの対策が重要です。では、大腸がんのリスクを減らすために、なぜ「大腸カメラ」がそれほど推奨されるのでしょうか。

大腸カメラは「がんを見つけるだけ」の検査ではありません

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の最大の強みは、大腸の粘膜を直接隅々まで観察できる点にあります。

一般的な「便潜血検査」は、大腸がんなどによる目に見えない出血の有無を調べるものです。一方、大腸カメラでは直接目で見るため、出血していない段階の病変も正確に確認できます。

大腸カメラで確認できる主な病変:

  • 大腸がん
  • 大腸ポリープ(腺腫など)
  • 鋸歯状(きょしじょう)病変
  • 組織の炎症やその他の粘膜病変

さらに、病変の種類や大きさによっては、検査のその場でポリープを切除することが可能です。ここに、大腸カメラが「早期発見」だけでなく「大腸がんの予防」にもつながる大きな意味があります。

大腸がんになる前の「ポリープ」を狙い撃つ

大腸がんの多くは、正常な粘膜にできた「ポリープ(前がん病変)」が、年月をかけて徐々にがん化していくことで発生します。

そのため、大腸内視鏡検査には以下のような重要な役割があります。

  1. ポリープを早期に見つける
  2. がん化する前に適切に切除する
  3. 将来の大腸がんの発生そのものを防ぐ

すべてのがんがポリープを経由するわけではなく、異なる経路から発生するもの(鋸歯状病変など)もありますが、この「前がん病変を芽のうちに摘む」アプローチが大腸がん予防において最も確実な方法の一つです。

ポリープを切除すると、本当に大腸がんは減るのか?

これについては、長年にわたり追跡調査された非常に重要な医学的データがあります。

米国の著名な研究(National Polyp Study)では、大腸内視鏡でポリープ(腺腫)を切除した患者さんを長期追跡し、以下の結果を報告しています。

  • 大腸がんの発生率が約76~90%減少(1993年発表の研究)
  • 大腸がんによる死亡率が53%減少(2012年発表の長期追跡研究)

これらのデータは、大腸カメラでポリープを発見・切除することが、大腸がんになるリスクやそれによって命を落とすリスクを劇的に減らす強力な裏付けとなっています。

「症状がない今だからこそ」大腸カメラの検討を

大腸がんは、かなり進行するまで自覚症状が出ないことが珍しくありません。

  • 「血便がない」
  • 「便通(便秘・下痢)に問題がない」
  • 「お腹が痛くない、体重も減っていない」

これらは決して「大腸に病気がない証拠」にはならないのです。

まずは40歳を迎えたら、毎年の便潜血検査(大腸がん検診)を欠かさず受けましょう。そして、もし便潜血検査で「陽性」が出た場合は、絶対に放置せず、必ず大腸内視鏡検査を受けてください。
また、年齢やご家族の病歴(血縁に大腸がんの方がいるなど)によっては、症状がなくても一度大腸カメラを受けておく意義は非常に大きいです。

大腸がん死亡者ゼロを目指して

大腸カメラは、単に「がんがあるかどうかを探す怖い検査」ではありません。将来がんになるかもしれないリスクを先回りして摘み取り、あなたとご家族の未来を守るための予防検査でもあります。

「大腸カメラは痛そうで怖い……」
「症状がないのに受ける必要がある?」
「便潜血検査が陽性だったけれど、どこに行けばいい?」

神戸・三宮のとよだ内科・内視鏡クリニックでは、ベストドクターズに選ばれ続ける消化器内視鏡専門医の院長のもと、患者さんの負担や苦痛を抑えた「精度が高く優しい大腸内視鏡検査」に努めています。

大腸がんで悲しむ方を一人でも減らすために。症状のない今だからこそ、ご自身の大腸の健康に目を向けてみませんか。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

【参考文献・情報源】

  1. Winawer SJ, et al. Prevention of colorectal cancer by colonoscopic polypectomy. N Engl J Med. 1993;329:1977-1981. DOI: 10.1056/NEJM199312303292701
  2. Zauber AG, et al. Colonoscopic Polypectomy and Long-Term Prevention of Colorectal-Cancer Deaths. N Engl J Med. 2012;366:687-696. DOI: 10.1056/NEJMoa1100370
  3. 国立がん研究センター がん対策研究所「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版」
院長 豊田昌徳

記事執筆者

とよだ内科・内視鏡クリニック
院長 豊田昌徳(とよだまさのり)

  • ・日本消化器内視鏡学会 専門医 (https://www.jges.net/)
  • ・日本消化器病学会 専門医 (https://www.jsge.or.jp/)
  • ・日本内科学会 認定内科医 (https://www.naika.or.jp/)
  • ・The Best Doctors in Japan 2024-2025(消化器内科)
  • ・The Best Doctors in Japan 2026-2027(消化器内科)
  • ・MBTI®認定ユーザー